可不可をとわれりゃ可(カフカだけに)ですが無理してやらんでもいい気はする。レーザーカッターが苦手な白い布地が切れるってのはメリットだと思いますが。
最近CNCフライスの勉強もかねて色々調べたりしてるんですがその過程で「これ洋裁CADのデータ使ってドール服の裁断できるんじゃね?」という事を考えたので実際に試してみました。
機械以外すべてフリーソフト使ってできる、っていうのがそれ魅力。
ただレーザーカッターの方が便利なんですよね…CNCフライスのサイズ的に1/12のドール服位にしか使えんしなぁ、この方法。
まずは型紙準備
とりあえず切れるかの確認、という事で洋裁CAD使って1/12用のスカートの型紙作ってみました。
因みに今回、使ってる洋裁CADのバージョンがちょっと古いです。
(確かVer15)。
最新版とはさほど違いはないと思いますが、そこはご留意ください。
PDF化したのはこんな感じ。
作り方をざっと開設すると2段目と3段目のスカート部分を中表で縫い合わせてギャザー寄せて1段目のウェストベルトの長さに縮め、ふわっとした感じのスカート作ってみよう、って感じです。
ピコニーモ用に作ってますが、腰のあたりにギャザー寄せる都合上、このままだとウェストがかなりきついのでちょっとウェストベルト伸ばした方が着せやすいと思いますよ。
洋裁CAD操作画面の印刷→レーザーカッターから幅と長さ設定してCAMでいう所のワークの設定をしてる、って感じですかねぇ。
これでレーザーカッター用のdxfファイルができます。
ただこれ、FABOOL LASER MINI用のデータなのでこのままだとCNCフライスには使えません。
Gコード使って機械動かしてる、という原理は同じなんですけどFABOOLの制御ソフトにしかつかえないんですよね、このdxfファイル。
なのでちょいと一工夫いれますよ。
jw_cad使ってレイヤー名変更と原点追加
フリーのCADソフト、jw_cadに上記dxfファイルをぶっこむとこんな感じの画面になります。
構造的にはこんな感じになっている。
右側の数字が丸で囲まれてるボックスを右クリックするとこの画面が見れます。
CADもレイヤー構造になってたのね。
画像が小さくて見づらいですが左上の0がワーク(というか作業範囲というか)、それ以降の1~3に部品のデータがある、という感じですね。
因みに洋裁CADの印刷設定でいう所の1番は0のレイヤーにワークと一緒に記述されるみたいなので、これやりたい場合は2番から設定するようにした方がいいと思います。
jw_cadからはGコードが作れない(多分)のでこの後にNCVCっていうソフト使ってGコード作るんですが
1.カットデータのあるレイヤー名はCAMにしなければいけない。
2.原点を設定するレイヤー名はORIGINにしなければいけない。
という2点の制約があるのでそれにあわせます。
設定タブのレイヤーをクリックして1~3のレイヤー名をCAMに変更。
使ってない4のレイヤー名をORIGINに変更。
4のレイヤーに円を追加。
この円の中心が加工原点になります。
0は使わないのでレイヤー名変更してませんが、これによってGコードの生成レイヤーから除外できます。
便利ですね。
ここまでできたらファイル→新規保存でjwwファイルとして保存します。
多分この形式で保存するのが一番手っ取り早いです。
NCVC使ってGコード生成
先程作成したjwwファイルをNCVCで開くと…
こんな画面になります。
そしてこの状態からファイル→NCデータの生成→標準生成を選ぶと…
こんな感じでGコードに一発変換!
レイヤー名さえどうにかなればかなり楽にできますねぇ。
因みにNCVCによって生成されるファイルはncdファイルなのでCNCにデータ渡す時はソフトによっては出てこない事もあるかと思います。
その際は全てのファイル名を選べば出てくると思いますよ、多分。
CNC制御ソフトに渡して裁断
上記のncdファイルをCNC制御ソフト(俺の場合はcandle)で開くとこんな感じのデータになってるのでこれを使ってCNCフライスで裁断します。
ただここで問題が。
準備OK、プラグラムドライブッ!ってやると恐らく布が動きまくってしまって切れないと思うんですね、多分。
(前回の記事の下の方参照)
普通はワークの4点止めるとかすれば固定できるんですがこれ1枚の布を細かい部品に分割する、ということになるのでぶった切ったあと布動いちゃうんですよねぇ。
なので。
幅広かつそこそこ強力な両面テープを布全面に貼り付けて布を固定します。
ダイソーいったらちょうど良いテープがあったので使ってみましたよ。
そこそこ強力につくんで切ってる最中は動かないし、割かし剥がしやすいしで案外便利。
ただ要はこれ、分割された布が張り付いてりゃいいんで布本体の4隅止めて裁断される部分にテープはってく、とかでも多分できるとは思うんですが…失敗した時が悲惨なので全面止めたほうが安全ではあるかな、と思いますかね。
これらの処置を施したうえで裁断すると…
こんな感じに切れます。
やってみた感じだとデータのZ原点は0mmかなー、という気がしましたが無理やりあわせてやったのでそこら辺はよー分からんです。
このZの設定が手間取ったんですよねぇ。
Gコード的には原点から12mm位落ちてるっぽいんですが…何分初心者なもんで(汗)
縫ってみるとこんな感じ。
久々にドール服作りましたがやっぱ楽しいな、これ。
とまぁこのように一応CNCフライス使って布の裁断は出来るわけなんですが…
案外欠点が多い
ざっとメリット・デメリットをまとめると…
- メリット
1.CNCフライスの活用の幅が広がる。
2.レーザーカッターが不得意とする白い布地でも切れる。 - デメリット
1.ホビー用のCNCフライスのサイズだと1/12サイズのドール服位にしか使えない。
2.布の全面にテープを貼り付けるのがめんどい上にコストが案外かかる。
3.高速回転するドリルで切る、という構造上切り口が案外汚くほつれやすくなる。
4.3の理由も併せて両面テープをはがす際に割とほつれる。
5.レーザーカッター持ってるならそっち使った方が楽。
メリット1.はいわずもがなですが地味に2.の部分がでかい気がします。
レーザーカッターってレーザー照射して切る、という構造上、レーザー反射しちゃう白を切るのが苦手なんですよね。
何回か照射すれば布の裁断位ならできますが、ちょっと焦げる事多いし。
デメリットの1.は何分作業スペースがそこまででかくない上、これがでかい機械って恐らく数百万するのでコスパ悪すぎなんですよね。
2~4の部分も中々厄介です。
両面テープは結構使いますし、ただでさえほつれやすくなってる生地から剥がすので結構ほつれちゃうんですよねぇ。
個人的に最大の欠点は5なんですが。
(だって俺持ってるし)
レーザーカッターの場合、空中に浮いた機械からレーザー照射するので布4隅止めればいいですし、化繊ならほつれるどころか熱で溶けてほつれ止め迄同時にできちゃいますし、作業スペース広いから1/6位のドール服でも作れるし、とこいつあれば同じことより良く出来ちゃうんだよなぁ…
なのでレーザーカッター持ってる人はそっち使えばいいと思います。
白とかレーザー反射する素材切る時には便利かなー、と思いますけどね。
という訳でCNCフライス使ってドール服の裁断やってみた実験レポートでした。
個人的な結論としては無理してやらんでもいいけど場合によっては有用かも、という所でしょうか。
レーザーカッター持ってなくてCNCフライスだけ持ってる、という場合にはありかとは思いますが…
(そもそもドール服作る人が持ってるもんなのか、というのは置いといて)
レーザーカッターってまだ割と高いですしねぇ。
ただこれやるためにCNCフライス買うのはお勧めしませんけども。
誰かの何かの参考になれば幸いです。
CNCは一応本読んだりしてみたので、そろそろなんか作ってみたいなぁ。
今回使ったCNCフライスのアマゾンへのリンクはこちらです。
詳しい事はこの記事参照。
レーザー照射ができるやつもあるらしい。
仕様見た感じ5.5Wのレーザーみたいですがそれだけ出力あれば多分布切れますね。
俺が使ってるレーザーカッター出力3.5Wですが問題なく切れてますし。
最近買ったCAMの本。
調べてみて知ったんですがこれ系の本ってド素人向けってあんまないんですね。
この本は超初心者向け、って感じだったのでとっつきやすかったです。
レビューとか実際に読んでみた感じとしてはちょっとでも経験ある人には物足りないかもな、と思いましたけど俺にはちょうど良かった。
FUSION360使って学べますし。
ただ本で使ってる機械がホビーユースのやつでも高級機なんだよね…
勉強にはなりましたが。
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