初心者がCNCフライス盤で1/12の武器作ってみた話。

そもそもフライス盤って何?っていうレベルの人ですが面白そうだったんで買ってみました。
触ったことはおろか見たこともない、という感じでしたが一応使えるようになりましたよ。

というわけで今回はつい最近買ったCNCフライス盤で1/12の武器作るまでの話をつらつらと書いていこうかと。

3Dプリンターだと不得意な部分が補えたりもするのであると便利かも。

それに比べてアナログな部分が多い事とガチの初心者ってこともあってかなり手間取りましたけども。

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そもそもなんで買ったのかというと

最近古い模型雑誌(確かモデルグラフィックス)を読む機会がありましてそこにこいつの記述があったんですよ。

3Dプリンターあればいらないんじゃないか、とも思ったんですがプラ板から加工すればレジンの反りに悩まされる部分を解消できるのでは、と思ったのと案外安い値段で機械が買える、ということが分かったので試しに買ってみたのでごぜーます。

一番の理由は毎度おなじみ、面白そうだったから!ですけども。

本体ご到着

というわけでさっそく買ってみました、CNCフライス。

今回購入したのはこいつ、SainSmart Genmitsuの3018-PROVer。

同じメーカーのもっと安いやつだとこんなのもあります。

なんでちょっと高い方買ったのかというと

1.一部の部品が組付けてあって作るのが楽。
2.緊急停止装置、左右の仕切り、Z軸調整機能がある

というのが理由です。

最大の理由は1なんですが、何分刃物を高速回転させる、という代物なので最低限の安全機能はあった方が良いと思ったんですよね。

またMDFプリンターいじったときの記憶からZ軸調整はめんどい、というイメージがあったのでそれを補助してくれるならありがたい、と思いまして。

…まぁ補助機能あってもめんどくさいですけどねぇ、Z軸調整。
いまだに使いこなせてないし。

一緒にケースも購入。

このCNCフライス、材料を高速で削って形を作る、という代物でして多分そのまま使ったら切りくずが飛びまくってひでぇことになるだろう、と思ったので保護ケースも一緒に買ってみました。

高くて防音効果が高いらしいケースもあるんですが私は環境的にあまり音に配慮しなくてよいのでこっちにしましたよ。
高いやつの半額位だしちょうどタイムセールもやってましたしねぇ。

わかっちゃいましたがこれも自作する必要があります。

ただまぁこのケース単体だとかなり軽いので移動とかしやすいのはよかったですね。

んで、こいつが本体の3018PROVer。

マニュアルは英語とドイツ語で書いてありました。

なぜドイツ語、と思ったんですがドイツはこういうのが流行ってるんですかね?
中国製なので中国語ならわからんでもないんですが…

因みにこいつ、日本語のマニュアルがウェブから見れる…らしいんですが3018ProのやつはあったんですけどPROVerのやつは見つからなかった(名前がわかりづらい)んですよねぇ。

そんな難しい英語でもなかったんで私はこれ読みながらやりましたが、不安がある人は安くて日本語マニュアルがWebで読めるProの方買ってもいいかも。

PROVerはフレームと台座が完成品状態で来るのでそういう意味では楽なんですが。

組みあげて完成。

台座のみだと下までドリルおろしたときに傷がつく…というか最悪ドリル折れるのでダイソーで買ってきたMDF板を敷いてます。

ちょっと大きかったんでぶった切って大きさ合わせてますよ。
それやらないとY軸のリミットケーブルが外れることがあるので。

必要な工具は全部ついてきますしそんな難しい工作でもない…んですが!

スピンドルモーターからコレット(六角形の黒いやつ)外すのにものすごい手間取りました。

銀色の軸のへこんでる部分をスパナで抑えつつコレットを回す、という方法を使えば簡単に外せるんですがそれに気づくまでがえっらい大変でしたねぇ。

かなり固く締まってるし、凹みにスパナ合わせたときに最初うまくいかなかったんですよね…
この機械、全くの初心者が触る場合ガチで分からない部分がちらほらあるのでそこが大変。

あと背面の制御ユニットですが説明書通りに作ってもあまり固定できないので使ってると振動で外れます。

工作の難易度としてはキット機のレーザーカッターよりかは難しく、MDFプリンターのキット機よりは簡単、という感じでした。

私が買ったレーザーカッターと部品、構造がかなり似てましたよ。

FUSION360でデータを作成

このCNCフライス、加工に必要なデータを作らなくちゃいけないんですが、FUSION360使えば作れます。

CAM機能あるのは知ってたけど使うことになるとは思ってなかったぜ…

というわけでサクッと作成、ドラゴン殺し。

CADで作ったものをそのまま使える、というのがそれ魅力。

さらに3Dプリンター用のメッシュの書き出しとCAM用の制御コード、Gコードの書き出し両方できるので機材の併用もできるという素敵ポイントも。

刀身を切り出せたらいいかなぁ、と思ったので30分くらいで作ってみました。

色々やってCAMデータを作成。

柄は3mmのプラ棒、鍔と柄尻は3Dプリンターで出す、という前提のもと作ってみましたよ。

詳しいやり方はWebとか本の情報参照です。
というか俺もほっとんど分からないですしねぇ、今の所。

しかしこれただで使えるとか本当にすごいよなぁ、FUSION360。

さっそく切断してみる

1mmのプラ板を適当な大きさに切って…

両面テープで板に固定。

使ってるのはこれまたダイソーで買ってきた強力両面テープってやつです。
地味に便利だ、これ。

Z軸をこれで調整して…

切削開始。

概ね上手にできましたー。

部材張り付けてXY座標合わせてZ軸合わせてプログラムドライブッ!でサクッと切れます。

かかった時間は1分弱位でしょうか。

プラ板を切る場合ですが、エンドミルっていうドリルを使うとプラスチックが巻き付いちゃうので3018PROVerに付属する20度のVビットを使うといいと思います。

これ使って5,000回転位にしとけば巻き付いてこないので。

ただここまで来るのが大変だった!

地味に曲者、制御ソフトCandle

この機械、制御ソフトとしてCandleっていう(多分フリーソフト)が入ってるSDカードが付いてくるんですがこいつが初心者にはなかなか理解が難しい代物でして…

まず第一に緊急停止スイッチがオンになってると画面からはわかりませんがうんともすんとも反応しなくなります。

次に電源を入れた後にUI上で一度リセット→ロック解除の操作をしないと動きません。

リセットボタンは右のコンソール下段の円印、ロック解除はその隣にある鍵マーク押すとできます。

さらに一度リミットスイッチに触れた場合、リセット→ロック解除→動かすと止まる→もう1回リセット、解除とやらないと動くようになりません。

これらに気づくまで地味に時間かかりました。
マニュアルとかもないっぽいしねぇ、これ…

何が起こってるかのメッセージは一応出ますし、Gコードがどこまで進んでるのかとかはわかりますし、ドリルの動きがPC上でも確認できる、とフリーの割には高機能な気もしますが癖も強いといいますか。

因みに操作の途中でリミットスイッチに触れた場合、座標の調整とかもいるので最初からやり直さないとダメです。

3Dプリンターだと初期の脱落(最初の段階でサポート材の固定がうまくいかず、落ちることがある)さえどうにかなればあとはまぁ大体出力できるということを考えるとかなり手間ですねぇ。

なお昔はオフラインコントローラーをつないだ状態ではPC操作が出来なかったらしいんですが、私の買ったやつは両方できました。

オフラインコントローラーは細かい調整やるのに便利ですよ。

追加加工なんてものもしてみたり

分かりづらいですが刃をつけて更に切り出してみました。

CNCフライスは座標と加工材の位置が間違ってなければ追加で加工する、とかも可能です。

今回は等高線、という機能を使って刃をつけることを試みてみました。

これを使えば両面加工とかもできるんですが…これがまたなかなか面倒なんだよなぁ。

補助の道具なしで座標を完璧に合わせるのはかなり難しいです。
これは治具使えば解消できるとは思いますが…

因みに等高線加工とかをやる場合、Vビットではできないので別途エンドミルが必要になります。

Vビットだとできない、とかFUSION360の工具設定で初めて知りましたよ(汗)

なのでいろいろやりたい、という人は最初にこのエンドミルセット買ってもいいかも。

因みにプラスチック切る場合はVビット使った方がいいみたいです。

エンドミルだと溶けたプラスチックがドリルに巻き付いちゃって剥がすのが大変。

またZ軸の調整が地味に面倒です。
そもそもモーターの位置とかドリルどこまでいれるのかでZ座標が変わる上に、Gコードの内容も分かってないのも合わさって上手い事合わないんですよねぇ…

おかげで1mmエンドミルおりましたよ。

んでこれらの加工をえたうえで…

作成、1/12ドラゴン殺し

作ってみました、1/12ドラゴン殺し。

刀身は1mm厚のプラ板をCNCフライスで加工したもの、柄は3mのプラ棒、他の部分は3Dプリンターで出力してます。

見た目よりもかなり軽いのでピコニーモ素体の夢結様でも余裕でポージングできます。

3Dプリンターオンリーでも多分作れますが

1.刀身が反らない
2.軽量になる
3.加工がしやすい
4.加工にかかる時間がかなり短い(調整とか複数加工とかする場合はまた別)

というところがメリットになるかと思います。

刃付けたところは加工がイマイチうまくいってないですけどねぇ。
ただ手応え的にはいけそうなので座標を合わせられるような工夫ができればよりよく出来そうな気がします。

余談ですがベルセルクの作者の方、お亡くなりになったそうですね。
アシスタントの方々の手で続きは書かれるっぽいですが…完結するのかなぁ、ベルセルク。
個人的にはガイバー完結するのかも気になってますが。

布の裁断に使えるのか、も試してみた

原理的にはレーザーカッターと似たようなもんだし、布の裁断もできないかな?と試してみました。

結論から言うと「布全てを固定すればできるがだったらレーザーカッターでいい」というところでしょうか。

切ること自体はできるんですが布が動いちゃうんですよねぇ。

逆に言えば布が動かなければ切れるので、切る部分すべてを両面テープで貼って固定する、とかすればできると思います。

レーザーカッターは切断部が浮いてるので固定する必要がなくかつ化繊であれば切断と同時にほつれ止めができるのでそっちの方が楽かなぁ、というのが個人的な結論ですかね。

結論といたしましては

3Dプリンターの欠点を解消するにはちょうどいいので、レジンの反りとか時間がかかるとかが気になる人は買ってみてもいいと思います。

またプラ板直接加工できるので強度が必要な部分とかはこれである程度補えるかも。

プラモデル的な趣味で使う分には安い中華CNCでも十分使える、という感じがしました。

金属加工やる、という場合はこの機会の場合、モーター出力が心もとないのとモーターの受けがプラスチックで振動の影響をもろに受けると思うので、ちと厳しいかも。

また手動で設定する部分が結構多いので全くの初心者がやるにはちと敷居が高いかな、と思いましたね。

特にZ軸の調整が難しいです。
モーターの位置、ドリルの設置位置とかが変わってくるので同じ設定でも思った以上に深く削っちゃう、とかも結構ありますし。

またプラスチックを加工する、という場合熱で溶けてドリルに巻き付くことがあるのでそこもマイナスポイントでしょうか。

あと回転するドリルぶつけて切る、という構造上音が結構でかいです。
人によってはそこも気になるかも。

仮に3Dプリンター持ってなくてどっちか買おう、というのであれば3Dプリンター買った方ができることの幅は広いと思います。

なんのかんので設定も楽ですし、CNCは上から削る、という特性上下から上に小さくなる、という加工は難しいですが3Dプリンターは下から積み上げる、という特性からそういうのも楽に作れますし。

個人的には割と面白そうですし、ちょっと作ってみたいものがあるので引き続きいじってみたいな、と思ってます。

しかし今年は色々やってますなぁ。

紹介したもののAmazonへのリンクはこちらです。

どうせ買うならエンドミルとケースも一緒に買う事推奨。

よりお安く試すならこちら。

エンドミルとケースはこれでも多分使えます。
安い分色々と機能ははしょられてますけども。

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雑記

Posted by てつじん